泣いて、泣いて、だから気づいた。生きるって、楽しかったんだ?。脳卒中で身体の自由を奪われた男たちと家族がスポーツに挑戦することで前進していく物語「片翼チャンピオン」（講談社）が注目を集めている。著者はノンフィクション作家の平山譲さん。実在の人物たちが直面した、突然の病魔による人生の崩壊と再生、悲しみと喜びの記録でもある。（宮田奈
津子）
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厚生労働省などによると、脳梗塞（こうそく）や脳出血など「脳卒中」の患者数は年間約１３７万人。そのうち約１３万人が亡くなっている。命を取り留めた患者も、半身まひなどの後遺症に苦しむことが多い。「第一線で活躍する人たちが突然、泣き暮らすような日々を迎 The Tower of AION rmt
えてしまう。どのような病気で、どのような現実があるのか。書いてみたかった」と振り返る。
物語の主人公は不動産屋を営む。脳出血で右半身のまひが残った。「俺、生きてて、いいのかな…」。思うにまかせない身体へのいらだちと、支える妻や家族の心の揺らぎが描かれる。ある日、障害者ゴルフ大会「日本片マヒ障害者オープンゴルフ選手権」の存在 Atlantica rmt
を知るのだが…。
同書では、脳出血に襲われた主人公がパラリンピック種目の“ボッチャ”に挑戦する「ひとりぼっちゃ」、脳梗塞から復活するバスケットボール監督の「ハッピーバースデー、俺」の２編も収められている。
実は３編とも実在する人物の物語である。長期間にわたり取材を行い、丁寧に話を紡いだ。「話を聞いていて、切なくて涙が
止まらない時もあった。本人と家族の心のありさまを記録したかった」と話す。
平山さん自身、幼少期から２２歳ごろまで病気と闘った。小児病棟の集中治療室では、幼いながらも死に直面した。社会への窓口はテレビだった。いつもスポーツをみていた。あこがれ、励まされた。
その思いが作品に投影されている。スポーツと逆境に立ち向かう
人々の姿が作家としてのテーマだ。阪神淡路大震災からの復興と還暦を迎える男のゴルフプロテストへの挑戦を描いた「ありがとう」は平成１８年に映画化された。
「自分が人に助けられてきた感謝が根底にある。スポーツには、一生懸命だったり純粋になることができる尊さがある。人の精神世界とスポーツを舞台にして、希望を感じてもらえる作品を描 12
き続けたい」
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